快適なスタディスペースで仕事も、家事も、勉強も【書斎をつくる】

「松戸の家」のスタディスペース。2階の吹き抜けに面したところにあります。

コロナ禍でリモートワークになったり、家で過ごす時間が長くなった方も多いのではないでしょうか。在宅勤務やオンライン会議が以前よりも一般的になり、個室以外にも仕事や勉強のためのスペースをつくる方が増えてきました。

仕事用にひと部屋つくるようなスペース的な余裕はなくても、居間や食堂、キッチンの一角にカウンターや本棚がある家族共用のスタディスペース(スタディコーナー)をつくると、仕事以外にも活用できて便利です。

この記事では、これまでの設計事例を紹介しながら、スタディスペースの具体的な作り方をお話します。

目次

ダイニングの一角につくるスタディスペース

キッチンの隣につながるスタディカウンター

「大宮の家」 ダイニングの後ろのキッチンからすぐ近くの場所にスタディコーナーがあります

上記の写真はマンションリノベーション「大宮の家」のダイニング。キッチンから横向きにつながったダイニングテーブルがあり、そのすぐ後ろにカウンターと本棚を造り付けたスタディスペースがあります。

キッチンからすぐ近い場所にあるので、料理の本を置いておいたり、時間をかけて煮込んだりする料理の際に、ちょっと他の作業をすることもできて便利です。

この事例ではカウンターの幅は約245cmです。このくらいの幅があると2人並んで同時に使う場合にも十分な広さですし、プリンターやFAXなどを置く場所をとることもできます。
(プリンターを使う頻度が多くない場合は、無線でパソコンと接続してもっと目立たない場所に置き場所をつくり、スッキリさせるのもいいですね。)

カウンターの奥行きは45cm、高さは70cmです。これは隣にある食器棚の奥行きにあわせて、それよりも出っ張らないようにということでこの寸法になりました。ここで行う作業の内容にもよりますが、一般的なパソコン作業やノートに文字を書いたりなどであれば、50cm程度の奥行きがあると使いやすいと思います。

スペースの都合で幅があまり広くとれない場合には、50cmだと資料を広げたりする余裕がないので、奥行きが55~60cmあると使いやすくなります。

参考に。私が仕事の作業をしている場所では、パソコンに向かって図面をかいたりしつつ、その手前にA3サイズ(奥行き約30cm)の紙を広げることも多いので、カウンターの奥行きをちょっと広めの60cmにしています。

こういった使い方は多くはないかもしれませんが、例えば大きめのパソコンを使ったり、洋裁で布を広げるので奥行きを広くしたいなどイメージしていいる使い方がある場合は、あらかじめ寸法をよく検討しておくといいですね。

ダイニングテーブルの横にあるスタディスペース

「河口湖の家」のダイニングにあるスタディスペース

こちらはダイニングの一角につくった「河口湖の家」のスタディスペース。使わない時には戸を閉めて隠せるようになっています。隣に引戸がついた収納があり、その引戸を開けた右側半分にスタディカウンターがあります。(下の写真参照)

右側がスタディスペース(引戸を開けたところ)
引戸を閉めて見えないようにしたところ

この家ではカウンターの幅は90cm、奥行約50cm、高さは70cmです。上部は本棚になっていて、棚下に照明を取り付けています。

「日進の家」もダイニングの後ろにスタディスペースがあります。
「初台の家」 ダイニングテーブルの後ろにつくったスタディスペース。キッチン前にもハイスツールに座って使うカウンターがあります。

カウンターがあれば椅子も必要になりますが、この配置の場合にはカウンター専用の椅子を用意しておかなくても、ダイニングテーブルで使っている椅子を反対に向ければすぐ使えるので、椅子をたくさん用意しておかなくても大丈夫です。

その場合スタディースペースのカウンターの高さは、テーブルの高さにあわせておくとどちらでもちょうど使いやすくなります。体形にもよりますが、一般的にはテーブルやカウンターの高さは70cmくらいが使いやすい人が多いと思います。

キャスター付きの椅子などは少し座面が高いものもありますので、使う椅子が決まっている場合はそれにあわせてカウンターの高さも高くしておきましょう。

対面キッチンの前につくるカウンター

「館林の家」 キッチン前にカウンターがあり簡単な食事などにも便利。

上の写真の「館林の家」では、対面キッチンの前にカウンターをつくりました。
奥様がキッチンに立っている際にもおしゃべりしたり、コミュニケーションがとれるのがいいといころです。

この家ではキッチンの手元部分はダイニング側から隠れるようにしたいということで、高さ20cmの立ち上がり壁をつくっています。通常のままでそうすると、カウンター側に座っている人から見た時に立ち上がり壁が高すぎて圧迫感があるので、ここではキッチンの床を他のところよりも15cm低くしています。
そうすることでキッチン側にいる人との目線が自然な高さになりつつ、両方の手元も隠れてちょうどよくなりました。

このカウンターは幅170cm、奥行き40cm、高さ70cmです。この家ではリビングの奥に仕事用の小さな部屋があり、このキッチン前のカウンターはそんなに大きくする必要はないのでこのサイズ。軽い食事をしたり、ちょっと本を読んだりするには十分な広さですが、しっかりと仕事や勉強をする際にはもう少し奥行を広げた方がいいでしょう。

リビング・ダイニングから離れた場所につくるスタディスペース

「立川の家」 階段室からスタディースペースを見たところ
本棚とカウンターを造り付けで製作

リビングやダイニングの一角だと周りに人がいて落ち着かないという場合には、少し離れたところにスタディースペースつくります。上の写真の「立川の家」は1階がLDKと水廻り、和室で2階に寝室と子供部屋があるという家ですが、2階の階段ホールを少し広くとってスタディスペースにしました。北側の窓に面しているので1日中安定した明るさがあります。

この家の場合は2~3人でも余裕をもって使えるように、カウンターの幅は275cm、奥行きは55cm、高さは70cmです。

松戸の家 2階書斎。カウンター前の障子を開けると吹き抜けを通して1階リビングとつながります
「松戸の家」吹き抜けに面した2階にあるスタディスペース
松戸の家 2階書斎 カウンターと本棚は造り付け
カウンター横には造り付けの本棚

「松戸の家」は1階にLDKのある家ですが、そのリビングの上の吹き抜けに面した2階にスタディスペースをつくりました。吹き抜けとの間には障子が入っているので集中したい時には閉めることもできます。カウンターの幅は250cm、奥行きは50cm、高さは70cm。樹種はタモです。

タタミ敷きにして足を下せる堀座卓式のスタディスペース

ダイニング・居間につながったタタミコーナーにあるスタディカウンター「三郷の家」
「三郷の家」 タタミコーナーに足が下ろせるカウンターをつくりました。

「三郷の家」では、1段高くなったタタミコーナーの一部に、足が下せるようにしたカウンターをつくりました。
この家では床や棚などの家具には杉板を使っていますが、カウンターや家具の天板には傷がつきにくいように広葉樹のナラを選びました。場所や使い方により適材適所を考えて、樹種を使い分けています。

この家では大きめのパソコンを置くことを考えて、カウンターの幅は170cm、奥行きは55cm、樹種はナラです。すっきりさせるために造り付けで本棚をつくり、照明は間接照明とし器具を見えにくくしています。

「大宮の家」タタミコーナーのカウンター
足を下して使えます

ここまでお話してきたようなスタディスペースを、家づくりの計画段階から取り入れる場合は、ハウスメーカーや工務店さんに依頼すると、希望のサイズや材料にあわせたカウンターを用意してもらうことができると思いますので、相談してみてください。

まとめ

今回は仕事や勉強、家事にと幅広く便利に使える「スタディスペース」について、計画する場所や具体的なカウンターのサイズなどについてご紹介しました。

しっかりと専用のワークスペースがとることがむずかしい場合にも、ダイニングやリビングにちょっとしたカウンターのあるスペースをつくることで、快適な暮らしにつながると思います。ぜひ家づくりの計画に取り入れてみてください。

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