最近は「リノベーション」という言葉が、ネットやテレビなどで使われることも多くなってきました。
似た意味の言葉には「リフォーム」もありますが、その2つにはどんな違いがあるのでしょうか。
ふたつの違いとともに、「リノベーション」ではどんなことができるのか、メリットとデメリットについてもお話します。
リフォームとは
「リフォーム」は、古くなった建物を新築時に近い状態に戻す修繕のことです。汚れた壁紙を張替えたり、壊れた水廻りの設備機器の交換を行なうなど、部分的な工事をすることが一般的です。
リノベーションとは
「リノベーション」は、壁を取り払うなどの大規模な工事を行なうことによって、元に戻すだけではなく性能を向上させたり、住む人の暮らしにあわせたカタチに生まれ変わらせるなど、価値を更に高める改修を行うことをです。
そしてリノベーションの中でも、 内装や設備をすべて撤去して骨組みだけの状態にし、新しい住まいを一からつくっていくリノベーションのことを「スケルトンリノベーション」といいます。
「スケルトン」とは「骨組み」という意味で、マンションの場合はコンクリートでつくられた構造部分(柱や床や壁など)のことになります。
マンションリノベーションでできること
マンションには共用部分 (マンション全体のもの)と専有部分(個人所有のもの)があり、リノベーションができるのは専有部分だけです。
外部に接している部分が共用部分、室内に接している部分が専有部分です。例えばバルコニーは共有部分、玄関扉やサッシは外側が共有部分で内側が専有部分となります。パイプスペース(給排水管やガス管)は室内にありますが、上下階を貫通しているため共有部分です。
ただしマンションによっては、専有部分でもリノベーションについての制約を設けている場合があります。特に下階への音の配慮のため、床の遮音性能や素材についての制限が定められていることが多いです。
反対に古いマンションでは、性能向上のためのサッシ交換が認められる場合もありますので、まずはマンションの管理規約をよく確認しましょう。
一般的には、玄関から長く続く廊下の両側に個室や水廻り(トイレ・洗面・浴室)が並んでいて、その先にLDKという間取りのマンションが多いですが、家族の人数やライフスタイルの変化などによっては暮らしにくいこともあると思います。
スケルトンリノベーションでは、元の内装や設備をすべて撤去してから新しい住まいをつくるので、住む人にあわせた暮らしやすい住まいをつくることができます。
マンションリノベーションのメリット、デメリット
以前は内装や設備のリフォーム済で販売されているマンションが多かったのですが、最近は購入後にリノベーションをすることも視野に入れて、手直しの入っていない中古マンションが販売されていることが以前よりも増えてきましたので、住まいの選択肢のひとつとしてリノベーションを考える方が多くなってきました。
しかしリノベーションにはメリットだけではなくデメリットもありますので、両方を理解しておきましょう。
マンションリノベーションのメリット
中古マンションのリノベーションは、こんなメリットがあります。
暮らしにあわせた自由な住まいをつくることができる
新築時の間取りではできなかったこと、例えば個室は最小限にしてリビングを広くしたり、玄関の土間を広くしてアウトドアのものを置いたり趣味のスペースにしたり、明るく風通しのいい浴室をつくったり・・・といったことも、自由につくるリノベーションでは可能になります。素材についても好みのものを選ぶことができます。
また面積の小さいマンションでも、好みにあわせたプランの工夫を積み重ねることで十分な広さに感じさせることも可能ですので、大きいマンションを購入するよりもその分費用が抑えられる場合もあります。
ただしマンションの構造や管理規約によっては、リノベーションで行うことができる内容に制限があり、できる工事が限られてしまう場合もありますので、リノベーションを前提に購入する場合には、事前によく確認しておくことが大切です。
建物の性能を要望にあわせて高めることができる
築年数の経ったマンションでは、現在の標準的な新築マンションよりも窓や断熱性能が低いものがあります。スケルトンリノベーションでは不足しているところの断熱材を増やすことができるので、元の建物よりも快適な室内環境をつくり出すことができます。
古い建物ではサッシのガラスがペアガラスではなく、1枚ガラスの建物もあると思います。サッシについては共用部分で交換が認められていないことが多いと思いますので、サッシの室内側にもう一枚窓(内窓)を取り付けることで断熱性性能をアップさせることができます。(これは部分的なリフォームの場合でも可能な工事です。)
また専有部分の古くなった給水や排水の配管や、電気配線を新しくすることもできます。
物件の選択肢が増える
希望の立地があって物件選びをする場合、新築のマンションがなかなか見つからないこともあると思いますが、中古マンションであれば新築よりも物件数が多くなります。また新築よりも価格が抑えられるため予算内で購入できるエリアが広がり、物件の選択肢が増えます。
費用を抑えることができる
新築マンションでは価格的になかなか手が出せないエリアでも、築年数の経ったマンションであれば価格が下がっていることが多いので、内容によってはリノベーションの工事費を含めても予算内おさまる場合も多いです。
マンションリノベーションのデメリット
次にリノベーションのデメリットについてお話します。
入居までの時間が長くかかる
マンションを購入してからリノベーションプランの打合せをして、工事費の見積もりをし、それから工事着工になるので、入居までの時間が長く必要になります。スケルトンリノベーションの場合は、工事期間も数か月は掛かるので、できるだけ早く入居したい場合には、リノベーションはおすすめではありません。
物件によっては耐震性、耐久性に問題ありの場合もある
築年数によっては耐震性や耐久性に問題がある場合もあるので、物件選びには注意が必要です。
ローンの金利が高くなる
新築マンションやリフォーム済マンションを購入する場合は、住宅ローンを利用することができますが、中古物件を購入してリノベーションする場合は、住宅ローンが利用できるのは物件の購入のみとなります。リノベーションの工事費用には住宅ローンが利用できないので、工事費用にローンを利用する場合は、住宅ローンよりも金利の高いリフォームローンを利用することになります。
まとめ
リノベーションにはメリットもデメリットもありますので、両方をよく理解しておく必要があります。
- 暮らしにあわせた自由な住まいをつくることができる
- 建物の性能を要望にあわせて高めることができる
- 物件の選択肢が増える
- 費用を抑えることができる
- 入居までの時間が長くかかる
- 物件によっては耐震性、耐久性に問題ありの場合もある
- ローンの金利が高くなる
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