快適な浴室をつくる上で、浴槽の素材は大切なことのひとつです。浴槽には様々な種類がありますが、その中でも高級ホテルなど高い快適性が求められる場所で多く採用されているのが「ホーロー浴槽」です。
この記事では、ホーロー浴槽の特徴、メリットやデメリット、ホーロー浴槽のメーカーについてお話します。ホーロー以外の一般的な浴槽の素材についても紹介しますので、好みにあった浴槽を見つける参考にしてください。
ホーロー浴槽の特徴
ホーロー浴槽とは
ホーロー(琺瑯)とは、鉄や金属材料の表面にシリカ(二酸化ケイ素)を主成分とするガラス質の釉薬を高温で焼き付けた素材のこと。浴槽の製造においては、鋳物(いもの)の浴槽の上にホーロー加工が施されます。
ホーロー浴槽の製造過程については、タカラスタンダードのホームページに詳しく紹介されています。熟練の職人さん達の高度な技術によって、ひとつひとつ丁寧につくられています。
ホーロー浴槽のメリット
耐久性が高い
ガラス質のホーローのコーティングは表面が硬いので傷が付きにくく、はがれにくいのが特徴です。また鋳物は衝撃に強いので本体が変形しにくく丈夫なため、長く使うことができます。
汚れを落としやすい
ガラス層で覆われている表面は、他の素材に比べなめらかで汚れや雑菌が付きにくく、落としやすいのでお手入れが簡単。色あせの心配がなく、艶やかな透明感が長く続きます。
蓄熱性、保温性が高い
鋳物ホーロー浴槽は浴槽自体がお湯の熱を蓄えるので、お湯からだけではなく浴槽からも温もりが届くという特徴があります。そのためお湯が冷めにくく、体が芯まで温まります。
肌触りがなめらかで光沢が美しい
見た目にもガラス質の光沢が美しく、なめらかで肌触りもいいのも人気が高いポイント。メーカーによっては色が選べるものもあります。
ホーロー浴槽のデメリット
経年劣化によりサビが出ることがある
経年劣化により表面のガラスコーティングが剥がれ落ちると、ザラツキが出たり、その下の鋳物部分からサビが発生しやすくなります。また、強い衝撃が加わって表面のガラス質が割れたりヒビが入った場合にも、水が入り込みサビが出ることがあります。
価格が高い
ホーロー浴槽を使用した浴室にする場合、システムバス(ユニットバス)にする方法と、単独のホーロー浴槽を使用して在来工法で浴室を製作する場合がありますが、どちらの場合でも他の素材の浴槽と比較して、価格が高くなります。
システムバスと在来工法の浴室の違いについては、下記をご覧ください。
重い
ホーロー浴槽は他の素材の浴槽と比較してとても重く、単体で100キロ程度の重量があります。そのため2階以上の階に設置する際には、建物の構造がその重さに耐えるようにつくられていることが必要になります。新築やリフォームの際には工事業者に早めに伝えて、構造を考慮しておきましょう。
ホーロー浴槽のメーカー
ホーローの浴槽の取り扱いがある主なメーカーは、タカラスタンダード と 大和重工 の2社です。
大和重工にはショールームがないので、実物を確認することができません。タカラスタンダードは全国各地にショールームがあるので、ホーローの質感や肌触り、サイズを実際に確かめることができます。
ホーロー以外の一般的な浴槽の素材と特徴
ここからは、ホーロー浴槽以外にはどんな素材の浴槽があるのかをご紹介します。
住宅で一般的に多く使われているのは「FRP」「人工大理石」の浴槽です。たくさんのメーカーから販売されていて種類が豊富にあることと、ホーロー浴槽よりも価格が抑えられることもあり、人気が高いです。
その他、メーカーは少なくなりますが、ステンレス製、木製の浴槽もあり、こだわりのある方に選ばれています。
FRP
「FRP(エフアールピー)」とはガラス繊維強化プラスチックのことで、ガラス繊維をプラスチックの中に混ぜて強度を向上させた材料のこと。軽くて防水性が高く、他の素材と比較すると価格が安いことがメリットです。
デメリットは汚れが付きやすいことです。FRPの表面には塗装が施されていて、その表面が汚れや色あせが起こると目立ちやすくなります。
人工大理石・人造大理石
「人工大理石」「人造大理石」とは、ポリエステル系やアクリル系などの合成樹脂を大理石のように成型したもので、浴槽においては、FRPなどのベースの素材にポリエステル系やアクリル系などの樹脂層を重ねてつくられています。
「人造大理石」はメーカーによって天然石を含んでいるものもありますが、含まれていないものもあり、「人工」「人造」の呼び方は定義があいまいなので、気になる場合はそのメーカーの説明をよく見てみましょう。
ポリエステル系とアクリル系がありますが、アクリル系の方が硬いので汚れや傷が付きにくく、見た目も透明感がありきれい。価格はアクリル系の方が高価です。FRP浴槽よりは高くなりますが、ホーロー浴槽よりは価格が抑えられます。
ステンレス
「ステンレス」は鉄にクロムやニッケルを加えた合金のことで、錆びにくいことが特徴です。軽くて耐久性が高いことがメリットで、昔はよく使われていましたが、現在では取り扱いのあるメーカーが少ないことやFRPよりも高価なので、一般的には「FRP」や「人工(造)大理石」の方が人気があります。
銀色のステンレスそのままの素材の浴槽は、ナスラック や JFE建材 で販売されています。タカラスタンダード では「カラーステンレス浴槽」というカラー塗装を施した浴槽もあります。
木製
木製の浴槽の樹種には、桧(ひのき)や高野槇(こうやまき)があります。独特の木の香りや肌触りがいいところが魅力的ですが、他の素材の浴槽よりも手入れに手間がかかること、耐用年数が短いこと、価格が高いことなどがあり、住宅では一般的にはあまり使われていません。
木製の浴槽を販売しているメーカーは多くはありませんが、例えば 檜創建 では単独の木製浴槽の他に、自由設計ができる木製浴槽を使用したシステムバスもつくっているので、住宅に取り入れることも可能です。
まとめ
今回はホーロー浴槽のメリットやデメリットについてご紹介しました。
他の素材の浴槽よりも価格は高くなりますが、耐久性や保温性などの性能が高く、見た目にも美しい浴槽になりますので、浴室にこだわりたい方にはおすすめします。実物をショールームで体験してみてください。
- 耐久性が高い
- 汚れを落としやすい
- 蓄熱性、保温性が高い
- 肌触りがなめらかで光沢が美しい
- 経年劣化によりサビが出ることがある
- 価格が高い
- 重い
ホーロー浴槽のあるメーカー
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