自分の設計事務所「いろは設計室」をはじめて今年で19年目になります。
事務所のスタートは、東京の代々木駅に近い場所から。古いマンションの一室を、数人の設計事務所や家具屋さんでシェアしていました。思い返すと本当に懐かしい。
自分専用のスペースは少なかったけれども、共有の場所があることでたくさんの人に出会う機会があり、多くの経験をしたことで、人とのつながりや自分の視野が広がりました。
代々木の事務所で2年ほど過ごした後、次の場所(中央区箱崎町)に移転。はじめての自分ひとりでの事務所スペースです。そこではあっという間に10年以上が過ぎました。
電車でも車でも便利な場所だったからか、想像していたよりも多くのお客様や友人、知人にも訪れていただいて、充実した日々を過ごしていたと思います。
そして現在。
今から2年半前の2022年に、東京から現在の千葉県に移転しました。千葉県といっても幅広いですが、位置的には千葉県の真ん中あたりにある市原市というところです。
その頃に、ひとり暮らしをしていた母親の病気がわかったので、同居するために事務所と住まいを移転することにしました。その後、仕事量をセーブしながら、母の通院や入院に付き添う日々を1年半ほど過ごしました。
住まいは、私が幼稚園に通っていた頃に両親が建てた一軒家。今から20年ほど前、私がまだ加藤武志さんの設計事務所に勤めていた時に設計をしてリノベーションをした家です。
それから時間も経ってかなり古くなり、傷んでいるところ、住みにくいところはたくさんあります。けれどもまだ十分に住むことができる状況なので、現在は私が住んでいます。この古い家での新しい暮らしがはじまりました。
20年以上前に設計した家で、施主は両親だったわけですが、考えていることや好きなものは、今もその頃とあまり変わっていないのですよね。
無垢の木や自然素材を使ってつくった家。希望や意見はもちろん聞きましたが、大体は私の好きなようにやらせてくれたことに、とても感謝しています。
無垢の床板やテーブルは、経年変化でかなり色が変化していい味になりました。壁の珪藻土も角が欠けたり汚れたりしていますが、まぁ許容範囲かな。
時間が経ってみてわかるいいこと、よくなかったこと。実際に住んでみて、長い時間が経ってみてわかることがたくさんあります。これから少しずつ、そんな暮らしの中での様子や気づきをお伝えできればと思っています。