自分にピッタリのキッチンをつくる

目次

食空間は暮らしの中心

毎日の暮らしの中で、食事をする時間はとても大切な時間だと考えています。家族での毎日の食事の時間だけではなく、友人などを招いて過ごす時間にも食が関係してくることが多いと思います。ダイニングやキッチンという食空間のつくり方によって、そこでの暮らし方や居心地のよさは大きく変わってきます。

キッチンの使い方や持ち物の量、よくつくる料理の内容や生活習慣などはみんなそれぞれに違うので、居心地のいい食空間は決まったカタチがあるわけではありません。

家のプランをつくる時には、使い勝手や収納量などだけではなく、キッチンがどんな場所にあるか、ダイニングやリビングとのつながりはどうか、キッチンに立った時に見える景色はどうか、などあれこれと何度も考えて、打合せをしながら設計を進めていきます。

希望にあわせたキッチンをつくる

キッチンは大きくわけるとメーカーの既製品の中から選ぶ方法と、寸法や素材、設備機器などすべて好きなようにオーダーしてつくる方法の2つがあります。キッチンがダイニングとつながる場合には、キッチンがよく見える場所になるので、見た目や素材にもこだわりたくなりますね。

ステンレス厚板のワークトップと杉ムク板パネルで製作した「市川の家」のキッチン

同じ大きさのキッチンで比較すると、メーカーの既製品の方が価格を抑えられるのですが、見た目も使い勝手も素材も満足のできるキッチンを考えていくと、当事務所の事例ではオーダーキッチンになる場合が多くなっています。
(ご希望によっては既製品の方がいい場合もありますので、一概にオーダーがいいということではありません。)

これまでに設計した家のキッチンについてご紹介します。

合板を一切使わずにムク板とステンレスでつくるキッチン

上の写真は、私が独立して設計事務所をスタートしてから初めて設計した「市川の家」のキッチンです。

キッチンが家の中で孤立したスペースにならないように、ダイニングやリビングとつながりのあるオープンなキッチンです。キッチンをダイニングに対面させているので、台所に立ちながらもダイニングにいる家族と会話をすることができますし、目線を前に向けると窓の外には桜並木が続く外の景色を見ることができます。

この家では住まい手の方が化学物質過敏症だったため、合板や新建材を使うことができませんでした。(一般的な既製品のキッチンセットには合板や新建材が使われている場合がほとんどです。)

ワークトップだけではなく、収納の引き出しや箱の部分まですべてステンレスでできているメーカーの既製品もあるのですが、見積りをしてみたらけっこういいお値段だったので、収納部分と扉はムクの木とし、ワークトップは下地の合板を使わなくてもいいように、厚いステンレスでつくりました。

市川の家」キッチンをダイニング方向から見たところ

キッチンの中の手元部分がかくれるように、少し立ち上がった配膳カウンターをつくりました。その立ち上がり部分にもワークトップが奥行深くのびるようにしているので、作業スペースが広く使えてとても便利です。ワークトップの下は、ダイニング側からも収納として使えるようになっています。
材料も寸法も設備機器も、すべて使う方の好みにあわせたキッチンをつくることができました。

リノベーションではキッチンの位置を移動することも可能に

そして上の写真は、マンションリノベーション「荻窪の家」のキッチンです。
リノベーション前のプランでは部屋の奥の方にある壁に向かったキッチンでしたが、位置を移動して対面キッチンになるようにし、窓の方向を向きながら作業ができる明るいキッチンになりました。
(その家の状況や建物の規約によって、位置の変更ができない場合もありますのでご注意ください。)

全体のプランのつながりからL型のキッチンになったので、ちょうどいい大きさになるようにオーダーでつくったキッチンです。

先に紹介した「市川の家」のキッチンにも共通ですが、シンクの下には扉をつけず、オープンのままにしています。ここはゴミ箱をや米びつなど、大きいものを置くのにちょうどいいスペースになります。
オープンにするとつま先がオープン部分に入り身体がシンクに近くなるので、洗い物などの際に楽な姿勢で作業することができます。

荻窪の家」のキッチンをダイニングから見たところ

ダイニングと横向きにつながる家事に便利なキッチン

対面式のキッチンはダイニングとつながっていて、会話したりできるのがいいところなのですが、キッチンからダイニングに移動する時には反対側にぐるっと回ることになるので少し距離が遠くなります。

下の写真の「雪谷の家」では、その移動する距離をできるだけ短く便利にしながらも、キッチンとダイニングがつながっていて、お互いの様子が見えるようにしたいというご要望にあわせ、キッチンとダイニングを横につなげるカタチにしました。

雪谷の家」 ダイニングからキッチンを見たところ

キッチンセット背面の食器棚も使い勝手にあわせてオーダーで制作したものです。このような作り付け家具は家具屋さんがつくる場合もありますが、できるだけ費用をかけずにつくるためにこの家では大工さんに製作していただきました。キッチンセットも大工さんの製作です。

キッチンセットも食器棚(下部)も収納は引き出し方式です。調理器具や食器は重いものもありますし、特にキッチンセットは一般的には奥行きが65センチ程度あり奥行きがあるので、引き出し式の収納であれば奥のものまでスムーズに出し入れできて使いやすいです。

この家ではご夫婦とも身長が高いので、キッチンのワークトップの高さを90センチにしています。一般的には85センチ程度が標準であることが多いと思いますので5センチ高くしました。メーカーのキッチンセットでも何段階か高さが選べるようになっている場合が多いので、使う方の身長にあわせて決めると使いやすさが大きく違います。オーダーキッチンであれば1ミリ単位で調整が可能です。

低すぎるキッチンで調理や食器洗いをすると、腰が痛くなったり、材料を切るときに力が入りにくかったりといった経験をしたことがある方は多いかもしれません。ワークトップの高さを決める目安としては、身長÷2+5(センチ)です。

例えば身長160センチの方なら85センチ、身長165センチの方なら90センチが目安です。とはいえ同じ身長でも違いはありますので、ショールームなどいろいろな高さのキッチンがあるところで体験してみることをおすすめします。
その場合、靴は脱いで普段家の中で過ごす時の恰好(スリッパや裸足など)に近い状況で確認してみてください。

キッチンの前は庭が広がる。正面は勝手口。
キッチンからダイニング方向を見たところ

既製品に自分の好きな扉をつけることができるキッチン

そして最後は、マンションリノベーション「大宮の家」のキッチンです。
こちらもキッチンとダイニングが横につながるカタチで、キッチンとリビングが対面しています。
手元の立ち上がりはなく、キッチンの前にはムクの木(ブラックチェリー)のカウンターが広がります。

大宮の家」のキッチン。奥にはダイニングテーブルが続く

こちらはオーダーキッチンのように見えると思うのですが、実は既製品とオーダーの中間くらいのキッチンです。費用的にも既製品とオーダーキッチンの間くらいです。
扉部分は使う方の希望にあわせて好きなものを取り付けるようになっています。

ステンレスワークトップやその下の引き出しの部分はいくつかのバリエーションや寸法の中から選ぶのですが、扉部分の素材や金物は(建築工事で)自由に決めることができます。今回は住まい手の方から「ムクの木がいい!」というご希望がありましたので、杉でつくりました。
キッチン部分は「エクレアパーツ」さんのものです。
キッチンの背面の食器棚(下部の引き出し部分)も同じ杉の扉でそろえたので一体感があり、きれいにまとまったと思います。

キッチン背面の食器棚もキッチンセットにあわせて杉ムクパネルの引き出し面材を取り付け
リビングからダイニング、キッチンの方向を見たところ

どの家も、全体のプランもキッチンセットの形も作り方もみんな違いますが、それぞれの家にぴったりと合ったキッチンになりました。

  • URLをコピーしました!
目次