市川の家
2階リビングから桜並木をながめる家
敷地の前には小さな川沿いに桜並木があり、明るくゆとりのある眺めが広がっています。けれども建て替え前は1階がリビング・ダイニングで、家の前は人通りのある道なのでいつもカーテンを閉めていて、家の中からその景色を見ることはなかったそうです。
新しい家ではせっかくのこの敷地の環境のよさをいかすために、2階を斜め天井の大きなリビング・ダイニングとしました。東南の角の大きなコーナー窓は、遠くまで続く桜並木の景色を額のように切り取って見せます。
2階なので建て替え前のように人目を気にすることなくブラインドを開けておくことができ、開放的な暮らしができるようになりました。日当たりも風通しも十分です。
家でも仕事をしたり本を読んだりすることが多いとのことでしたので、リビングの壁一面に長いカウンターをつくり、そこの一部を書斎コーナーや本棚として使うことができるようにしました。
家中の収納は、すべて杉のムクパネルを使って大工さんが制作したもの。特にキッチンはカウンターを厚いステンレスでつくり下地の合板を使わないなど、たくさんの工夫を重ねて実現させました。
(キッチンについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。)
1階は玄関ホールと寝室などの個室なので、天井高さは低めにして全体の建物高さを抑えました。とはいえ建具の高さを天井いっぱいまでとして天井の枠をなくして溝のみとしてスッキリさせることで、圧迫感を感じさせないようにしています。
来客が多いため玄関ホールは広くとり、パーテーションのような建具を全開にすると予備の個室とつながります。
奥さまが化学物質過敏症であり、住宅の建築に一般的によく使われている合板や集成材、ビニールクロスなどを使った家には住むことができないということでした。そのため素材については、 無垢の木や和紙、左官材だけではなく、接着剤などの下地やや見えなくなるところに使うものも含めてひとつひとつ確認して、安心できる素材を選びました。
室内に使用している木はすべて国産の無垢材です。柱や梁、造作材、床材には産地まで住まい手と一緒に足を運んだ天竜(静岡県)の天然乾燥の杉や桧を使用しています。
(天竜に行った際のことについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。)
将来体力が衰えて2階にあがることができなくなった時のことを考えて、現在の1階の寝室をLDKに、クローゼット部分を浴室にして、予備の個室からスロープで出入りできるように構造や配管も考慮済み。素材の面でもプランの面でも、いつまでも安心して暮らせる家になりました。
写真
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建築地:千葉県市川市
構造規模:木造(在来)地上2階建+ロフト
敷地面積:100.17㎡(30.30坪)
延床面積:100.05㎡(30.27坪)
用途:専用住宅
世帯:夫婦+子供
完成:2008年4月