家づくりのお金の基本|注文住宅にかかる費用を知っておこう

注文住宅にかかる費用についての解説

家を建てようと思った時に、まずはどのくらいのお金が必要なのか、気になる方が多いのではないでしょうか。

家づくりは建物の費用だけではなく、外構など建物まわりの工事、登記や保険、税金など様々な費用がかかってきます。

家づくり全体の費用の内訳
  • 土地の取得費用 
    土地代金、仲介手数料、登記費用、契約印紙代金、不動産取得税、固定資産税、土地計画税、住宅ローン費用
  • 建物の建築費用
    本体工事費、別途工事費、設計料
  • 諸費用
    申請費用、登記費用、契約印紙代、不動産取得税、固定資産税、土地計画税、住宅ローン費用、つなぎ融資費用、保険料、引っ越し費用、式典費用、水道負担金

かなり多いですよね。思ったよりも建物本体以外の費用がたくさんあると思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。このように多くの項目がありますので、建物だけではなく、家づくり全体での予算計画を考えることが大切です。

この記事では、家づくりにはどんな費用がかかるのかをお話しします。

目次

注文住宅の建設費の平均はどのくらい?

家を建てる地域や家の大きさ、依頼先などの条件により、家づくりにかかる費用は当然違ってきます。ですのであくまでも参考ではありますが、平均では住宅の建設費がどのくらいなのかを見てみましょう。

住宅金融支援機構(昔の住宅金融公庫のこと)では、フラット35(住宅ローン)の利用者についてのデータを毎年公表しています。

それによると、2021年度の注文住宅の建設価格の全国平均は、建物のみ(所有している土地がある場合)で3,572万円、土地と建物の両方を取得する場合で4,455万円となっています。

注文住宅の建設費の全国平均(2021年)
  • 建物のみの場合(所有している土地がある場合)
    建設費:3,572万円
  • 土地と建物の両方を取得する場合
    合計:4,455万円 (建物:3,010.6万円、土地:1,444.9万円の合計)

参照元:住宅金融支援機構 2021年度 集計表

この金額は全国平均であり、首都圏では全国平均よりも高くなっています。特に土地購入費用の首都圏平均は2,220万円ですので、全国平均の1,444万円とは大きな差がありますね。ですので、あくまでも目安にする程度としてください。

ちなみに。
国土交通省の住宅局からも「住宅市場動向調査報告書」が毎年出されていて、注文住宅の調査対象が約2,500件(令和3年度)となっています。上記の住宅金融支援機構の方は、注文住宅の集計件数が28,629件と多いので、今回はこちらを紹介しました。

家づくり全体にかかる費用の内訳

家づくりの費用は、大きく分けて次の3つがあります。

家づくりの費用の内訳
  • 土地の取得費用
  • 建物の建築費用
  • 諸費用

すでに土地がある場合には土地取得費用はかかりませんので、建築費用と諸費用のみですね。
ではそれぞれの費用について、具体的に見ていきましょう。

土地の取得費用

土地の取得のためには、土地代金の他に下記の費用が必要になります。

土地の取得費用の内訳
  • 土地代金
  • 仲介手数料
  • 登記費用(登録免許税、司法書士報酬)
  • 契約印紙代金
  • 不動産取得税(かからない場合もあり)
  • 固定資産税、土地計画税
  • 住宅ローン費用

仲介手数料

仲介手数料は、土地の売買を仲介した不動産会社に支払う費用です。宅地建物取引業法により上限が定められていて、「土地の価格×3%+6万円」となります。
(不動産会社が所有する土地を購入した場合は、仲介手数料は不要)

土地の購入代金には消費税はかかりませんが、その他の費用(仲介手数料や司法書士の報酬など)にはかかります。また、建物の工事費には消費税がかかりますので、混同しないように気を付けてください。

登記費用(登録免許税、司法書士報酬

所有権移転の登記費用は、登記簿に記載されている不動産の所有者を変更するためにかかる費用です。登記する際にかかる「登録免許税」と、司法書士に手続きを依頼する際に支払う「司法書士報酬」の2つがあります。

土地の売買による所有権移転登記の登録免許税の税率は、2023年(令和5年)3月31日までは軽減措置により「土地の固定資産税評価額の1.5%」です。

参照元:税務署|登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ

司法書士報酬は、5~10万円前後が一般的です。

契約印紙代金

土地の売買契約を交わす際にかかる費用(税金)です。土地の売買契約書に印紙を張って納めますが、土地の契約金額によって印紙代が決まっています。

契約書は2通作成し、一般的には売主と買主が1部ずつ収入印紙を負担します。

2024年(令和6年)3月31日までは軽減措置が適用されています(下記表の右欄)。

スクロールできます
契約金額印紙代印紙代(軽減税率)
100万円を超え 500万円以下2,000円1,000円
500万円を超え 1,000万円以下10,000円5,000円
1,000万円を超え 5,000万円以下20,000円10,000円
5,000万円を超え 1億円以下60,000円30,000円

参照元:国税庁|契約書に係る印紙税の軽減措置

不動産取得税

不動産取得税は不動産を取得した際にかかる税金で、一度だけその不動産がある都道府県に納めます。

ただし住宅用の土地であれば、軽減措置や特例が適用されて、不動産取得税がかからないケースが多いです。

不動産取得税額=固定資産税評価額×税率

不動産取得税は土地の販売価格ではなく、土地の固定資産税評価額に税率をかけて計算します。2024年(令和6年)3月31日までの取得であれば軽減措置が適用になり、税率は3%です。

住宅用の土地であれば特例が適用になり、固定資産税評価額×1/2に軽減されます。こちらも2024年(令和6年)3月31日までの取得についてです。

また、住宅用の土地であれば、算出した不動産取得税額から下記のAかBのどちらか多い額が控除になります。
 A: 45,000円
 B:(土地1㎡当たりの固定資産税評価額×1/2)×(住宅の床面積(200㎡が上限)×2)×3%

不動産取得税の軽減措置が受けられる条件

  • 建物の軽減措置の条件に適合していること
    (課税床面積が50㎡以上240㎡以下、個人の居住を目的とした住宅)
  • 住宅よりも先に土地を取得した場合、3年以内に建築すること
  • 建物の建築が先の場合は、1年以内に土地を取得すること

注文住宅を建てる場合は先に土地を購入しますが、その場合は3年以内に建築しなければ軽減措置が受けられません

知らずに期限が過ぎてしまったということがないように、スケジュールをよく確認しておきましょう。そして申告が必要です。

申告方法や特例、軽減措置の利用方法については、都道府県によって手続きが違うので、自分が取得する土地の都道府県の内容をよく確認してください。

ちなみに東京都の事例になりますが、主税局のホームページには不動産取得税計算ツールがあります。

固定資産税、都市計画税

固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日時点に不動産を所有している人に対して課税されます。

年の途中で土地を購入した場合は、日割り計算した額を支払うのが一般的です。都市計画税は市街化区域内の不動産にのみ課税されます。

地域により異なる場合があるので、詳しくは購入する土地の自治体について調べましょう。

  • 固定資産税額
     ・小規模住宅用地(1戸あたり200㎡以下までの部分)固定資産税評価額×1/6× 1.4% (標準税率)
     ・一般住宅用地(1戸あたり200㎡を越える部分)固定資産税評価額×1/3× 1.4% (標準税率)
  • 都市計画税
     ・小規模住宅用地(1戸あたり200㎡以下までの部分)固定資産税評価額×1/3× 0.3% (最高税率)
     ・一般住宅用地(1戸あたり200㎡を越える部分)固定資産税評価額×2/3× 0.3% (最高税率)

住宅ローン費用

住宅ローンを使用する場合には、「住宅ローン手数料」「保証料」「印紙代」「登記費用」がかかります。手数料や保証料は利用する金融機関によって差があります。

金利だけではなくこの手数料や保証料についてもよく検討して金融機関を選択しましょう。

土地によってかかることがある費用

上記のほか、土地によっては「建物の解体費用」「水道の引き込み」「地盤改良費用」「測量費用」などがかかる場合もあります。

実際に支払いが発生するタイミングは土地の購入後になりますので、この費用については後から解説する「建築費用」のうちの「別途工事費」に含めています。

どんな費用がかかるのかは、下記の記事の後半で解説しています。

建物の建築工事費用

ここからは建物の建築費用について見ていきましょう。家の建築工事費用は、主に次の3つに分かれます。

家の建築工事費用の内訳
  • 本体工事費
  • 別途工事費
  • 設計料

この分け方にははっきりとした決まりがありません。建築会社によってどこに分類するかが違うこともあり、例えば設計料が本体工事費に含まれていることもあります。

それぞれの項目について、順番にお話しします。

本体工事費

本体工事費は、建物そのものを建築するために必要な工事の費用が含まれます。

本体工事費の内訳
  • 建物をつくる工事
    基礎工事、木工事、断熱工事、窓、屋根、板金工事、仮設工事など
  • 仕上げの工事
    外装工事、クロス工事、左官工事、タイル工事、塗装工事、建具工事、造付け家具工事など
  • 設備の工事
    電気工事、水道工事、ガス工事など

本体工事費には、外部の塀や駐車場、庭などの工事は含まれません。

家づくりについて調べ始めると、「坪単価」という言葉をよく目にしますよね。

これは明確な定義があるわけではないのですが、この「本体工事費」を床面積(坪)で割って出していることが多いです。ちなみに1坪は約3.3㎡です。

別途工事費

別途工事費は、会社によっては「付帯工事費」といわれていることもあります。主に建物以外の部分の工事にかかる費用が含まれています。状況によってはかからない費用もあります。

別途工事費の内訳
  • 外構工事
    塀、駐車場、造園など
  • インテリア関係
    カーテン、ブラインド、照明器具、置家具
  • 空調工事や特殊設備にかかる費用
    エアコン、床暖房、換気システム、防犯設備工事、浄化槽、特殊設備機器など
  • 土地に関する費用
    地盤調査費、地盤補強費、既存建物の解体費、擁壁工事費
  • 敷地までの設備配管工事
    水道やガスを敷地内まで引き込む費用

設計料

工務店やハウスメーカーなど設計と工事を同じ会社が行う場合、設計料は本体工事の中に含まれていることもあります。

設計事務所に依頼する場合は本体工事とは別の項目になり、本体工事費と別途工事費の合計金額の約10%程度が目安です。

諸費用

諸費用とは、上記の工事費以外にかかる費用のことです。多くの項目がありますが、状況によってかからない費用もあります。

諸費用の内訳
  • 工事関係の諸費用
    建築確認申請料、中間検査・完了検査の費用、性能評価などの申請費用、契約印紙代
  • 住宅ローン費用
    事務手数料、保証料、団体信用生命保険料、抵当権設定登録免許税、司法書士報酬、印紙代、つなぎ融資費用
  • 登記費用
    建物表示登記、建物所有権保存登記、滅失登記費用
  • 税金
    不動産取得税、固定資産税、都市計画税
  • その他
    火災保険、式典費用、給水負担金、引っ越し費用、仮住まい費用、

工事関係の諸費用

諸費用のうち、工事に関係する費用には以下のものがあります。

  • 建築確認申請、完了検査、中間検査
    工事をはじめる前に申請し、建物が建築基準法などの法規に適合しているかのチェックを受けます。自治体や検査機関により金額が異なり、例えば100㎡以下であれば1~2万円程度

    中間検査は建物規模や自治体により不要な場合もあります。完了検査は建物が完成した際に受ける検査で、これも地域や面積によって金額が異なり、例えば100㎡以下であれば1~2.5万円程度
  • 性能評価や長期優良住宅などの申請費用
    認定を受ける内容がある場合にかかる費用です。
  • 契約印紙代
    工事会社との工事請負契約時にかかります。2024年(令和4年)3月31日までは軽減措置が適用され、例えば契約金額が1000万円超5000万円以下であれば1万円、5000万円超1億円以下であれば3万円です。
    出典:国税庁「建設工事請負契約書の印紙税の軽減措置」

住宅ローン費用

住宅ローンを利用する場合には様々な費用がかかります。金額が金融機関によって違いますので、利用を予定している金融機関の内容を確認しましょう。

  • 事務手数料
    金融機関に支払う事務手続きの手数料。
  • 保証料
    ローンが返済不可能になった場合に備え、連帯保証人の代わりに保証会社に依頼する場合の費用。フラット35の場合は不要。
  • 団体信用生命保険料
    ローン契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、ローン残額が保険金で返済される保険の保険料。
  • 抵当権設定登録免許税、司法書士報酬
    ローンを借りる時に行う「抵当権設定登記」の際にかかる税金。2024年(令和4年)3月31日までの取得であれば軽減措置が適用され、借入額×0.1%(軽減税率適用後)※。

    登記の手続きを依頼する際に支払う「司法書士報酬」も必要で、費用は4万円程度が一般的です。

    ※適用条件
     ・住宅の床面積が50㎡以上であること
     ・新築または取得してから1年以内に登記すること
     ・自分で住むための住宅であること  

     参照元:国税庁「登録免許税の租税表」
  • 印紙代
    住宅ローンを利用する際に、金融機関と結ぶ契約書に印紙税がかかります。

    2024年(令和4年)3月31日までは軽減措置が適用され、例えば契約金額が1000万円超5000万円以下であれば3万円、5000万円超1億円以下であれば6万円。
  • つなぎ融資費用
    住宅ローンは、建物が完成して引き渡される時に融資が実行されます。その融資実行までの期間に支払いが必要な場合は「つなぎ融資」を利用します。

登記費用

建物を新築する際に必要な登記は3つです。(土地については上記の土地の項目を参照)

  • 表示登記
    どんな建物であるかを記録する登記で、建物が完成したら1か月以内に行います。免許税は不要で、土地家屋調査士に依頼する場合の費用は10万円前後が一般的です。(面積や依頼先などにより異なります。)
  • 所有権保存登記
    建物の所有者が誰かを記録する登記です。法的な義務はありませんが、住宅ローンを利用する場合には必要です。

    その際にかかる登録免許税は、2024年(令和4年)3月31日までの取得であれば軽減措置が適用され、固定資産税評価額×0.15%(一般の住宅の場合)または0.1%(長期優良住宅、認定低炭素住宅の場合)※。

     ※適用条件
      ・取得した住宅の床面積が50㎡以上であること
      ・新築または取得してから1年以内に登記すること
      ・自分で住むための住宅であること  
      参照元:国税庁「登録免許税の租税表」

    登記申請の手続きを依頼する際に支払う「司法書士報酬」も必要となり、費用は3万円前後が一般的です。
  • 滅失登記
    建て替えの場合にかかる費用です。これまでに住んでいた古い家を解体してから1か月以内に「滅失登記」を行います。土地家屋調査士に依頼する場合の費用は5万円前後が一般的です。(面積や依頼先などにより異なります。)

税金

  • 不動産取得税
    不動産取得税は不動産を取得した際にかかる税金。建物の固定資産税評価額に税率をかけて計算します。2024年(令和6年)3月31日までは軽減措置が適用になり、税率は3%です。

     [ 建物の固定資産税評価額-1200万円 ] ×3%

     ※一般住宅の控除額は1200万円、長期優良住宅は1300万円が控除されます
     適用条件:床面積が50㎡以上240㎡以下であること
     
  • 固定資産税、都市計画税
    毎年1月1日時点に不動産を所有している人に対して課税されます。
     ・固定資産税評価額×1.4% (標準税率)

    新築住宅の場合は特例措置があります。(2024年3月31日まで)
    条件にあてはまれば、床面積120㎡以下の部分に対しては固定資産税額の1/2が減額可能となり、期間は一戸建ての場合は3年間、長期優良住宅の場合は5年間適用されます。

    特例措置の適用条件は以下です。
     ・令和6年3月31日までに新築された住宅であること
     ・住宅の居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下であること
     ・共同住宅は居住部分の床面積に廊下や階段などの共用部分の床面積をあん分し、加算した床面積で計算すること
     ・併用住宅は居住部分の割合が1/2以上であること
     ・一戸建て以外の貸家住宅は、一戸につき40㎡以上280㎡以下であること

    参照元:東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」、財務省「令和4年度税制改正の大網
  • 都市計画税
    毎年1月1日時点で市街化区域内に不動産を所有している人に対して課税されます。
     ・固定資産税評価額×0.3% (最高税率)

その他の諸費用

  • 火災保険・地震保険
    住宅ローンを利用する場合は、加入が義務付けられている金融機関がほとんどです。選択する補償内容や会社、契約期間によって金額が違いますので、事前に見積もりをして目安をを知っておくのがおすすめです。
  • 式典費用
    地鎮祭や上棟式などを行う場合は費用を考えておきましょう。
    行う場合、地鎮祭は初穂料(神主さんへの謝礼)が3~5万円程度で、お供え物(米、お酒、塩、野菜、果物、魚など)は自分で用意しますが、工事会社や神主さんが用意してくれることもあります。
  • 水道負担金
    新規で水道を引き込む場合や、水道の口径を大きくする場合に水道局に支払う費用。自治体によって金額が異なります。東京都のように0円のところもあれば、30万円程度かかる地域もあります。

    ネットで「○○市+水道負担金(または加入金、局納金)」で検索すると、自分のエリアの自治体のページが出てくると思います。
  • 引っ越し費用
    家が完成して引っ越しをする際の費用です。
  • 仮住まい費用
    建て替えの場合は、建築中に住む仮住まいの家賃や駐車場代が必要になります。

まとめ

このように家づくりには建物本体の費用以外にも、たくさんの費用がかかります。家づくり全体でどのくらいの予算がかかるのかを意識しながら計画を進めていきましょう。

家づくり全体の費用の内訳
  • 土地の取得費用 
    土地代金、仲介手数料、登記費用、契約印紙代金、不動産取得税、固定資産税、土地計画税、住宅ローン費用
  • 建物の建築費用
    本体工事費、別途工事費、設計料
  • 諸費用
    申請費用、登記費用、契約印紙代、不動産取得税、固定資産税、土地計画税、住宅ローン費用、つなぎ融資費用、保険料、引っ越し費用、式典費用、水道負担金

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