おかげさまで14年

それまで勤めていた設計事務所を退職して、自分の設計事務所「いろは設計室」をスタートさせたのは2006年5月15日。
それから今日で14年が経ちました。

思い返すといろいろなことがありましたが、あっという間に時間が過ぎていったという感じです。

どんな仕事でもお客様にご依頼していただくということは本当にありがたく大変なことだと思うのですが、その中でも設計事務所というのは、こちらで勝手にものをつくってそれを売るということではなく、まずは何も実績がない状況でご依頼いただいて設計をスタートするということなので、どうなるのか不安な中での事務所開設でした。

幸運なことにスタートしてからすぐに、これまでの実績や、建築や家づくりの考え方に共感していただいた方に住宅の設計をご依頼いただき、その後完成したのが上の写真にある私の設計した家の第一作「市川の家」になります。
住まう方の考え方と私の考え方の方向性がとてもあっていて、最初から自分がつくってみたい、住んでみたいと思う家をつくらせていただけたことは、とても幸せなことだったと思います。

そのスタートから14年間。
思い返してみると、その間に設計させていただいた家は、どの家もみんないろは設計室のつくってきた家や考え方を見て、わかっていただいた上で設計をご依頼いただいた方からのご依頼で、私もこの方たちのためにいい家をつくりたいと感じた方の家づくりだけですので、本当に恵まれた状況でお仕事をさせていただいてきたことをありがたく思います。

そのことを考えるときにいつも思い出すことがあります。
それは勤めていた設計事務所の所長の加藤さんは、やりたいことややるべきことを考えるとともに、やらないことをはっきりと決めていたこと。
事務所に入った頃の私には、なんでこんなにいいお仕事の話を受けないのか、全く理解できないことが何度も何度もあったのですが、自分で事務所を初めてからはそのことが理解できるようになってきました。

でも理解できることと、実際にそれを完全にできるかどうかは同じことではなく、なかなかむずかしいことです。
やらないことを決めるその先に、自分のやりたいことをやれる状況をつくっていけるのだとは理解しつつも、なかなかのチャレンジです。
加藤さんのもとで仕事をさせていただいていた間、本当に楽しく理想的なお仕事ばかりだったのですが、それはそのことがあってのことだということを、最近はしみじみと感じています。

加藤さんにあこがれてはじまった私の住宅設計。
追いかける背中はずっとずっと先にあり、いつまで経ってもなかなか追いつくことはできませんが、少しづつでも思う方向には進めているように思います。その背中をみてきたからこそ、私もやらないことを決めてやってこれたと思います。

そんなことで、これからも依頼していただく方にとってのいい家を一緒につくっていくことに全力で向かっていきます。
15年目もどうぞよろしくお願い致します。

いろは設計室
橋垣史子