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2019-04-06

住まい手インタビュー(初台の家)

初台の家

完成:2017年12月
場所:東京都渋谷区
完成時の様子はこちら
 

お住まい手:H様(ご夫妻、お子様2人)
設計:いろは設計室(担当:橋垣)
施工:創和建設(志村社長、山田監督)
コーディネート:大地を守る会(秋山氏)

リノベーションして3か月と聞きました。この部屋に入ってきたとき、すごくいい木の香りがしたんですが、住み心地はいかがですか?

Hさん(妻):いわゆる「新築のにおい」は、本当にしませんよね。
 
Hさん(夫):家の中の空気が、まず全然違います。私はそれほど化学物質に過敏というわけではないのですが、以前に暮らしていた、いわゆる合板やビニールクロスに囲まれた通常のマンションとは明らかに違う、そのことに感動しました。
そうとしか言いようがないのですが、明らかに居心地がいいんです。これが自然素材の部屋の根底にあるものだし、すべてなんだなと実感しました。
 

大地を守る会に相談したきっかけはどういったことだったんですか?

(橋垣注釈:H様はまず設計者や施工会社をコーデイネート(紹介)している会社である「大地を守る」さんに出会いマンションリノベーションをすることをお決めになりました。施工会社は紹介で創和建設さんに決まったのですが、設計者はその紹介ではなく、H様独自に探してくださり、いろは設計室にご依頼いただけることになりました。)
 
Hさん(妻):そもそもは引っ越し先を探していたのですが、ある物件を見た時に不動産屋さんから「リノベーションをすれば…」という話しが出て、そういう選択肢もあるのかと。その時に出てきたリノベ案が、壁紙を張り替え設備を変えてという本当に普通の工事だったんですが、イメージが全然違うのに数百万もかかるんです。
大地さんが戸建て住宅を手掛けているのを知っていたので、建材などの情報が得られるのではと思い連絡してみたんです。そうしたら「マンションもやります」ということで、自然素材でリノベーションしようと決めました。
 

 

設計から工事まで一貫して引き受ける施工会社もあると思いますが、設計士さんが入るメリットはどのようなことでしょうか?

大地(秋山):この質問は施主さまからもよく聞かれるのですが、相性のいい設計士さんであれば、施主さまのイメージにより近い家をつくることができます。
 
創和(志村):設計士さんには施工会社にはない自由な発想とプラスアルファのセンスがある。Hさんの物件でも、うちなら提案しないなと思うようなところがいっぱいありますね。
 

施工会社を創和建設さんにしたのはなぜでしょう?

大地(秋山):設計士、施工会社、施主さま、それぞれに考え方や思いがありますが、世界観を共有し実現できる方たちをうまくマッチングするのが、私たちの仕事です。
今回、Hさんからお話をいろいろ伺って、「無垢の木を使っても、“職人が作った木を見せる家”というのとは違うイメージなんだな」と感じました。ならばデザインへの対応能力が高い創和建設さんがいいのではと。自然住宅の実績もすごく多い施工会社さんですし。
 
創和(志村):私たちは設計していただいたものを形にする、そのスタイルで長年多くの自然住宅を作り、多くの設計者さんとも関わってきています。ですから、新築、リフォームに限らずあらゆる物件の、あらゆる手法やデザインに柔軟に、創造的に向き合えるという部分には、自信を持っています。
 
いろは(橋垣):「無垢の木を使いましょう」「家具を作りましょう」と言っても、誰でもできるわけではありません。やっぱり作り慣れていて木のことがわかっている、どういう技術が必要で、後々どうなるかが分かっている施工会社さんであることはすごく大切ですね。
創和建設さんは自然素材が専門で、こちらが考えたことを当たり前に形にすることができるので、いろんなことがスムーズでした。
 

設計段階でのお話を聞かせてください。どういった部分を重視しましたか?

Hさん(夫):この部屋は結露がひどかったので、一番は風通し。でも橋垣さんは、その点については「当たり前」という感覚でいらっしゃる人でしたね。
 
Hさん(妻):「自分が全部考えて指示しなきゃいけないのかも」と思うと辛くなってしまいますよね。でも橋垣さんならある程度要望を伝えたら、的確なものが返ってくることが想像できたので、細かい部分の作りこみはお任せで。
 
いろは(橋垣):設計が楽しかったです。ある程度はお任せいただき、お互いにアイディアを出しながらワーッ!と盛り上がってやった感じです。
 
Hさん(妻):そんな中でも、なかなか決まらなったのはキッチンですね。一般的なメーカーのショールームに何度も通い、カウンターの高さや幅を何度もメジャーで測って、あと10cm、いやいや、あと5cm、という感じで、最後の最後まで。
 
いろは(橋垣):洗面所もトイレの手洗いも大工さんが製作したものです。ですから自由が利くのですが、逆に決めるのはなかなか難しい。Hさんは「これを入れるから、ここは何cm」と、きっちりしていらっしゃいましたね。せっかくのフルオーダーだから、できるだけ細かく、「あと1cmあればこれが入ったのに」というのがないように。
 
Hさん(妻):でも電子レンジの下を開けてもらうなど、自由度も残してもらいました。全部決めすぎてしまうと、生活や趣味が変わった時に対応できないので、決めるところと、遊びを持たせるところと。
 

 

自然素材を使うという点では、何か気を付けたことはありますか?

Hさん(妻):“山小屋”になってしまうのはイヤです、と(笑)
 
いろは(橋垣):そうなんですよね。好みによりますが、無垢の木って節があるし色の違いもあるので木を使う分量が多すぎてしまうと、山小屋のような重い空間になってしまうんです。
 
創和(志村):マンションの部屋に「抜け感」を作ろうとすると、壁をとっぱらってがらんどうにするパターンが多いんですよね。でもこの部屋は、建具も家具も梁も仕切りも結構あるのに、「抜け感」が感じられます。
玄関とリビングを仕切る格子戸なんかも、ちょっとマンションとは思えない雰囲気を作っていますよね。
 
いろは(橋垣):エアコンを使う時にはあそこには扉が欲しい。でも「抜け感」がほしいなと考えて、自然と無垢の木の扉ではなく格子戸になりました。
 
Hさん(妻):マンションリノベは最初から箱が決まっているし、特にここは壁も梁も多く、そういう中で様々な工夫をしていただけたのが本当に良かったです。

設計が仕上がり、予算的なものはどうだったでしょうか?

 
Hさん(夫):最初にいただいた見積もりを見て、“クラッ”とめまいが来ました(笑)。要望を一番いい形で実現する感じでしたから、「さあ、どこをどう削ろうか」と。結果的には3割くらいの減額になったと思います。
 
いろは(橋垣):自然素材のなかでもグレードの高いものを使ったり、希望する設備や家具などをすべて入れた内容でまずは見積もりを出してもらったので、最初はかなりの予算オーバーでした(笑)。でも例えば扉の材質でも、栗と杉では倍くらい値段が違いますから、それを変えるだけで何十万という単位で減らすことができますし、他にも扉や家具を減らしたりすることで減額していきました。
 
Hさん(妻):最初は壁と天井の全部が左官だったのですが、天井は和紙に。面積が広いところを考え直すと削減しやすいかもしれません。
 
いろは(橋垣):寝室の入り口も、もとは扉だったんですがカーテンに。結果的には、そのほうが風通しもよく、閉塞感のない軽やかな感じになりましたね。
 
Hさん(妻):あとはトイレがタンクレスからタンク有りに。そういう減額案のアドバイスも、設計士さんと施工会社さんが出して下さいます。
 
いろは(橋垣):こういうことをあんまり言ってしまったらよくないのかもしれませんが、照明器具などをインターネットで買って用意されるとお安くなりますよね。あとHさんのお宅もそうですが、床の塗装をご自身でやると塗料代だけになります。
 
Hさん(妻):床の塗装を家族でやったのは楽しかったですね。子供たちが大活躍でした。
 
創和(志村):珪藻土や漆喰の壁ならば、3人に一人くらいはやる方いますよね。でもこの壁(中霧島壁)は難しい。ただ下手でもそれなりの味にはなるんですよ。ちゃんとした設計士さんが作った空間と、使われている自然素材、それぞれに力があるから。ビニールクロスなんかを張るよりはずっといいです。
 

 

今後、リノベーションする方に伝えたいことはありますか?

 
Hさん(妻):リノベーションって、例えば妥協して妥協していくらか減額できたとしても、それなりのお金はやっぱりかかってしまいますよね。それならば「楽しい」と思える方向で、できる範囲内で前向きに決断してゆくのが一番。出会いから、計画、施工、完成まで、すべてが楽しかったのは、うちがそれを意識しながらやっていたからかなと思います。
もちろん「ここはお金かけちゃったかな」という部分もありますが、結果的には「やってよかった」と思えるものばかり。「やっぱりやればよかった」と後悔しながら暮らすよりは。まあお金はこれから一生懸命働けばいいんだし。
 

自然素材は掃除やお手入れに手間がかかるといった話も聞きますが、そのあたりは実際はどうでしょうか?

 
Hさん(妻):それほどの手間は感じていません。たまにオイルを塗ってあげるといいと言われるので、そのうちにやろうかなと。小さなへこみは、濡れティシュを置いておいたり、スチームアイロンをかけたりすると、ふわっと戻ってくるんですよ(笑)。私は結構そういうのも楽しんでいます。お掃除は今のところ「ルンバ任せ」(笑)。
 
大地(秋山):自然素材だと静電気が発生して埃が付着することが少なく、お掃除はそれほど手間はかからないと思います。
 
Hさん(夫):ちょっとずつ面倒を見ながら、10年20年となじんでいくのが楽しみですね。普通の家であれば、新築から年を経れば劣化していくだけですが、自然素材の家は、たとえ傷がついても、それが味わいになってゆくと思います。
実は長男の部屋が僕のお気に入りで、大人になって出て行ったらもらいたいなと、今から考えているんですよ(笑)。
 
Hさん(妻):一緒に歳を重ねていく家――そんな感じがしますね。そういう喜びを選んでくれる人が増えるといいなと思います。
 

 
 
 
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